2012年06月16日
幹巻き
幹巻き
友達の造園家さんのお手伝いで松本は浅間温泉の現場です。
坂が多く平らなところが少ない地形に数多くの温泉宿や住宅が立ち並ぶ地域です。
今回の現場も狭く縦長の敷地で、
建物が出来てからでは大きな樹木を入れることができないので、
基礎工事が始まる前にクレーンを入れて植え込みです。
もし建物が出来てから同じ大きさのものを入れたいとなると、
道路を通行止めにして、今回よりよっぽど大きなクレーンを設置して、
クレーンから見えないところへ無線か何かで誘導しながらの作業になってしまいます。
道路の脇には電線も多く走っていますので、
大きなクレーン自体も無理かもしれませんね。
今回植えた木は「シャラ」と「山法師」です。
そして、今回のテーマ「幹巻き」
植木には「表」と「裏」があるのをご存知ですか?
まあ、表と裏といいますか、
木には元々植わっていた(生えていた)向き、
つまり南を向いていた側と北を向いていた側があります。
元々の向きを分かっていて、植えるときにその向きにできればいいのですが、
材料屋さんから来る木などは元の向きが分かりません。
また、木には枝振りや幹姿から格好の良い向き(正面)があります。
お座敷や玄関など、または、道行く人から見て格好の良い方向などに
正面を向けたいものです。
そうなると、元々の向きに植えるというわけにはいきません。
南を向いていた側は、直射日光に慣れているのでいいのですが、
北を向いていた側は慣れていないので、
直射日光に負けて日焼けしてしまい、幹肌が焼け割れしてしまったりします。
もう一つ、
木を移植する時には「鉢巻き」といって、
根の周りを「藁菰(こも)」と「荒縄」や
「麻布」と「麻縄」などで適正な大きで移動できるように巻き締めします。
その時にはどうしても根を切らざるをえません。
「高木剪定」の回でお話したように、
どんな木でも葉と根はバランスが取れています。
移植の時には根を切った分、同じ位に葉数を減らす必要があります。
(根の量は土の中で分からないので、我々庭師は概ね半分以下にしてしまいます)
そうすると・・・
根と葉の量が少なくなった木は、道管(根から水を上げ、葉から養分を配る菅)を流れる水分の量が少なくなります。
つまり、「幹の表面温度が下がらない」状態になります。
よって幹焼けを起こしやすくなってしまいます。
(庭の木に水やりをすることがありましたら、
水を上げる前と水をあげてからしばらくした後の幹の表面温度を
手で触って比べて見てください。
水をあげた後の幹がヒンヤリしているのが分かります^^)
また、春から夏にかけては、幹からも水分は蒸発してしまいます。
以上のような理由から
(直射日光からの日焼けを防ぎ
幹からの蒸散を防ぐ)
我々がこの時期木を植える時には、
特に雑木の時には麻の緑化材(麻布)で「幹巻き」をします。
ひと手間かけることで、少しでも移植した時の活着を良くします。
移植する時には「幹巻き」の他にも「支柱」や「水決め」などの手順があり
それぞれに理由やコツがあるのですが、
長くなってしまいましたので、それはまたの機会に紹介しますね。
友達の造園家さんのお手伝いで松本は浅間温泉の現場です。
坂が多く平らなところが少ない地形に数多くの温泉宿や住宅が立ち並ぶ地域です。
今回の現場も狭く縦長の敷地で、
建物が出来てからでは大きな樹木を入れることができないので、
基礎工事が始まる前にクレーンを入れて植え込みです。
もし建物が出来てから同じ大きさのものを入れたいとなると、
道路を通行止めにして、今回よりよっぽど大きなクレーンを設置して、
クレーンから見えないところへ無線か何かで誘導しながらの作業になってしまいます。
道路の脇には電線も多く走っていますので、
大きなクレーン自体も無理かもしれませんね。
今回植えた木は「シャラ」と「山法師」です。
そして、今回のテーマ「幹巻き」
植木には「表」と「裏」があるのをご存知ですか?
まあ、表と裏といいますか、
木には元々植わっていた(生えていた)向き、
つまり南を向いていた側と北を向いていた側があります。
元々の向きを分かっていて、植えるときにその向きにできればいいのですが、
材料屋さんから来る木などは元の向きが分かりません。
また、木には枝振りや幹姿から格好の良い向き(正面)があります。
お座敷や玄関など、または、道行く人から見て格好の良い方向などに
正面を向けたいものです。
そうなると、元々の向きに植えるというわけにはいきません。
南を向いていた側は、直射日光に慣れているのでいいのですが、
北を向いていた側は慣れていないので、
直射日光に負けて日焼けしてしまい、幹肌が焼け割れしてしまったりします。
もう一つ、
木を移植する時には「鉢巻き」といって、
根の周りを「藁菰(こも)」と「荒縄」や
「麻布」と「麻縄」などで適正な大きで移動できるように巻き締めします。
その時にはどうしても根を切らざるをえません。
「高木剪定」の回でお話したように、
どんな木でも葉と根はバランスが取れています。
移植の時には根を切った分、同じ位に葉数を減らす必要があります。
(根の量は土の中で分からないので、我々庭師は概ね半分以下にしてしまいます)
そうすると・・・
根と葉の量が少なくなった木は、道管(根から水を上げ、葉から養分を配る菅)を流れる水分の量が少なくなります。
つまり、「幹の表面温度が下がらない」状態になります。
よって幹焼けを起こしやすくなってしまいます。
(庭の木に水やりをすることがありましたら、
水を上げる前と水をあげてからしばらくした後の幹の表面温度を
手で触って比べて見てください。
水をあげた後の幹がヒンヤリしているのが分かります^^)
また、春から夏にかけては、幹からも水分は蒸発してしまいます。
以上のような理由から
(直射日光からの日焼けを防ぎ
幹からの蒸散を防ぐ)
我々がこの時期木を植える時には、
特に雑木の時には麻の緑化材(麻布)で「幹巻き」をします。
ひと手間かけることで、少しでも移植した時の活着を良くします。
移植する時には「幹巻き」の他にも「支柱」や「水決め」などの手順があり
それぞれに理由やコツがあるのですが、
長くなってしまいましたので、それはまたの機会に紹介しますね。
Posted by 正風園 at 02:17