2016年05月09日

黒松移植 移植後剪定編

黒松移植 移植後剪定編


黒松移植 移植後剪定編

どんな木でもそうですが、移植に伴って根を切ってしまった分だけ、葉数を少なくしてあげなければなりません。根が水を吸い上げられる量と葉が光合成で水を必要とする量のバランスが取れなければ木が弱って枯れてしまいます。

黒松移植 移植後剪定編

今回は根回しをして移植出来る鉢の範囲に根を作ることをしていませんし、掘り上げた時に太い根が出てきてしまったので、できるだけ葉数を少なくすることが活着を手助けすることになります。
「移植した時に葉の数が多い方が早く元気になる」と感じる方もいると思いますが、それは勘違いですので気をつけましょう。大切なのは「根と葉の量のバランス」なんです。
根ができてくると自然に葉の数も増えてきますし、木も大きくなってきますので、それまでの我慢です。
画像左側が手入れをして芽数(葉数)を減らしたところです。

そうそう、移植後の根が少ない時は「絶えず水を切らさない」ことも肝心なポイントです。
良いお天気が続くときなどは、特に根鉢の湿り気に気をつけてあげましょう。

黒松移植 移植後剪定編

さて、今回の黒松ですが、今まで手入れされていた方の癖なんでしょうが、枝の中に「短い枯れ枝」が沢山残ってしまっています。
どんな木でもそうですが、枝の中に枯れ枝が残っていると芽の数を減らしても(手入れしても)枝が混み合ってしまい、風通しも悪くなって虫や病気がつきやすくなりますし、下の枝に日光が通りにくくなり(日陰になり)生育が悪くなってしまいます。
「枝の中の方が枯れてきた」というのは、意外と日差しが足りなくて弱っていることがよくあります。

黒松移植 移植後剪定編

画像では分かりにくいですが、手間がかかってでも枯れた部分をきちんと落としてしまいます。

黒松移植 移植後剪定編

松の剪定の時に、この辺りだけで通用する専門用語かもしれませんが「芽潰しをかける」といった切り方があります。
普通は新しい芽が起き始めたところを残して切っていくのですが、ちょうどいいところに芽がない場合、本来は切ってしまったり、「もみあげ」といって落としてしまう古っ葉の手前で切る方法です。
つまり「一昨年の葉」を残す方法です。

黒松移植 移植後剪定編

別にぜったいやってはいけないわけではなく我々もよく使う手法ですが、この場所で切ると来年残した枝先から新芽を吹くことがなく枯れ落ちてしまう可能性が高いのです。
そうすると古っ葉が自然と落葉した後に短い枯れ枝が残ることになります。
この切り方を頻繁に使って何年もそのままに残しておくと、短い枯れ枝が沢山残ってしまいます。
「芽潰し」をかけたところは、次の手入れの時には必ずその下で切ることを、手間を惜しまずにやりましょう。

黒松移植 移植後剪定編

また、何年も同じところで切っていると、どうしてもコブのようになってきてしまいます。
コブを作らないように毎回違ったところを切るようにして、芽を更新してあげるのも枝をスッキリさせるコツです。

黒松移植 移植後剪定編

頭の部分の手入れが終わったところですが、下枝と比べてスッキリ具合はいかがでしょうか?

黒松移植 移植後剪定編

定期的にきちんと手入れされている松でも枝先が跳ね上がってしまっている松を見かけることがあります。枝先は元気が良いので上に跳ね上がりやすいのです。
竹を沿わしたり棕櫚縄で下に引っ張ったりもするのですが、いつまでも縄で引っ張っているのもあまり格好良いとは言えません。

黒松移植 移植後剪定編

手入れのコツとしては、「枝先は下向きの弱い芽を残して、上向きの強い芽を落とす」といいでしょう。
我々の仲間内では、腰が上がったり枝先の跳ねたような松の手入れをしていると「下手くそ」なレッテルを張られてしまいます。気を付けないと・・・

黒松移植 移植後剪定編

今回はこの木を初めて手入れさせてもらったのですが、枝先が跳ねてしまっていた差し枝を少し短くさせてもらって、全体として抑えた感じにしようと心掛けました。
この先も我々が関わってお世話になるようでしたらば、徐々に跳ね上がった感じを無くして、もっと落ち着いた感じにできればと思います。




Posted by 正風園 at 01:00

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