高木剪定作業

正風園

2012年04月14日 03:31

高木剪定作業

兄弟子のお手伝いで高木の剪定作業にきました。




兄弟子は親方の息子さんで、「東京農大 造園学科」の出身です。
この業界で「農大出身」といえば、エリート中のエリートです。

いつもいろいろ教えてくれますし、
仕事を廻してくれたり、今回のように気にかけてくれます。
同じ「一門」として、ありがたいですね。
感謝、感謝。(^.^)




今回の現場は伊那市にある、とある会社の道路脇の「樫の木」です。




会社が大きくなると共に木も大きくなるのはいいのですが、
少し大きくなりすぎたかな?
枝が建物にあたっていますし、何より日がさしていません。




どんな植物もそうですが、葉に日が当たらないところは
枯れていくか葉が出てきません。
大きな木ですが、中のほうには葉がありません。
葉がないところまで切り込んでしまうと、いくら芽がふきやすい樹種でも
その枝は枯れてしまう可能性が高いので、
内枝が絶えてしまうほど茂り伸びきった木は、
小さくしたくても限度があります。



作業中(^.^)

山の林の中の木は、込み合って生えていると競うように日の光を求めて
上へ上へと背を伸ばします。
結果、細くひょろ長い木になります。
一本の木の中でも、茂ってくると同じ木なのに枝どうしが
競うように伸びていきます。

つまり、何年も放ったらかしでいると、
枝はどんどん伸びるし、葉の数は増えるので
光合成が盛んになって糖分の生成も増えて、
年数倍(2年なら2倍、3年なら3倍)ではなくて、
二乗倍に、加速度的に大きく太くなっていきます。

また、
どんな木も「枝葉と根のバランスは整っている」んです。
枝が茂って伸びていると、同じだけ根も成長しています。

茂っている木を一気に剪定すると、枝葉と根のバランスが崩れます。
枝葉が少なくなっても根は今までと同じなので、
ドンドンと水を上げようとします。
根は水を上げようとしますが、葉が少なくてバランスが悪いので、
慌てて葉を増やそうとします。
一度茂って大きくなった木が、剪定してもすぐに大きくなる(伸びやすい)のはこのためです。




木登り中\(◎o◎)/!


我々が「定期的な剪定」をお薦めするのは、
庭に合うように木姿や大きさを抑えることはもちろんですが、
枝葉の量を抑えることによって、根の成長も抑えることにもなるので、
「大きくなりにくい木」になることでもあるんです。
(逆に、植木屋さんや我々も畑などで大きくしたい木がある場合、
 何年も放ったらかしにすることがあります。)




とまあ理屈はともかく・・・

お施主さんの希望は
「できるだけ小さく」
ですから、やってみました。
いかがでしょうか?



東京へ遊びに行くと、都会の街路樹などは
「センス良く剪定されているなぁ」
といつも思うのですが、みなさんそう思いませんか?
ただ不格好に小さく枝を切られているというのではなくて、
あくまでも樹種に合った自然な樹形で、
涼しげに気持ち良く管理されていると思いませんか?



話題になった サッカー日本代表 長谷部 誠の「心を整える」の中に
「身なりは自分だけのものではない」という言葉がありました。
 (言葉は違ったかもしれませんが、たしかこんなニュアンスだったと思います)
つまり
「他人に不愉快な思いをさせるような身なりは本来でない」
ということだと思うのですが、
自分は街路樹や個人の庭の庭木でも同じことだと思います。


目にする人に違和感や
「こんなふうに切っちゃって」と
痛々しさを感じさせるようではいけないと思っています。

剪定する時には、
光が差し込み風が吹き抜け、
明るさや、涼しさや、清々しさや、爽やかさを感じてもらえるような、
違和感なく自然な感じになるように、心がけています。

そのためには木の持つ「本来の姿」にも気を付けています。
樫には樫の、もみじにはもみじの、ケヤキにはケヤキの、
それぞれの樹形があって、
なるべく本来の形を保ちつつ大きさを抑える剪定

今回の出来栄えはいかがでしょうか?




会社の玄関には見事な「木曽石の野面積み」がしてありました。
駒ヶ根の職人さんだそうですが、ほんとに見事です。




「レンギョウ」が咲いていました。
モクセイ科 レンギョウ属
明るい黄色が綺麗ですね。




「ムスカリ」
ユリ科 ムスカリ属
秋植えの球根植物ですが、寒さに強いので、
何年もここで咲いているのかもしれませんね。