「ネグンドカエデ」移植

正風園

2012年04月29日 01:28

「ネグンドカエデ」移植


お施主さんが「どうしても欲しい!」と松川町の持ち主さんに交渉して、
譲ってもらえることになった「ネグンドカエデ」を移植します。

実は昨年の春に話があったのですが、
持ち主さんが苗木で手に入れて
そのまま大きくなったものだとお聞きしたので、
一気に移すのも心配でしたし、
どうしても気に入ったものだから「時間をかけても・・・」とのことから、
「根回し」をしてから移植することにしました。





「根回し」とは・・・
世間で良く使う
  「事を行う前に関係者に事情を説明して、ある程度了解を得ておくこと」
会社で「出来る奴」と言われるためには大切なことですが、
今回のはそうではなくて、
  「木を移植する際、一、二年前に根の周囲を切り詰めて、
   細根を発達させておくこと」
です。



カエデ類は比較的根回しがかかりやすい樹種だと思います。
(枝がよく伸びるものは根もよく伸びる)
木によっては枝や根がそれほど伸びないものや、
どんな樹種でも太い古木はそれほど発根も期待できないでしょう。

根回しをかけるにしても太み(樹齢)や樹勢をしっかり観察して考慮して、
必要ならば半分づつ2年かけてとか、三分の一づつ3年かけてとか、
発根状態を確認しながら移植まで時間をかけることもあります。


根回し作業を行なったのが、昨年の4月16日ですので、
ちょうど一年前です。
季節を一回りしていますから、
カエデの根回しとしてはまずまずだと思います。





掘ってみた状態ですが、
しっかり発根していると言えるでしょう。





鉢の底の方までしっかり発根しています。




鉢を巻いた状態がこんな感じです。





木って、立っているとそれなりの見慣れた大きさなんですが、
倒してみると立っている時以上に大きさを感じますね。






さて、現場ですが、表の庭にはミニバックしか入って行けないのですが、
今回の木はミニバックでは運べないので、
(推定ですが、重量2t弱くらいでしょうか?)
家越しにクレーンで吊り込みます。




大掛かりですが、事故があってはいけませんから、
多少お金がかかっても、余裕を見て段取りをします。

それでもクレーンを設置出来る場所が限られていて、
距離があるので大変でした。





家の上を通す時に土や砂利が落ちてどこかを痛めてはいけませんから、
根鉢の底にもちゃんとコモをあてます。
(通称 おむつ)








25tラフタークレーンなのですが、
普段はなかなか出さない「補助ブーム」を2段も出してもらいました。







いつもお願いしていて、腕前も気心もよく分かっているクレーンのオペさんなので、
厳しい作業もその点では不安感がありません。
「大段取り」の作業の場合は、「馬が合う」とか「リズムが合う」ということが、
事故を防ぐためにも大事なことだと思っています。






いろいろ苦労をして、
やっとこお施主さんが望む場所に植えることができました。





お施主さんも待ち望んでいたのを知っているので、
喜んでもらえたのではないでしょうか。(#^.^#)







ネグンドカエデ
 カエデ科 カエデ属
雌雄異株  これは雌花です。








ユキヤナギ(雪柳)
 バラ科 シモツケ属
公園などで刈り込んであるものをよく見かけますが、
自然樹形の方が馴染むと思いませんか?